自費リハビリについて

この10年ほどで自費リハビリの事業者は増えており、「自費リハ」という言葉も少しずつ業界の中では多く聞かれるようになってきました。

事業者は、個人事業規模から大手企業規模まで様々です。クリニックで自費リハビリを提供する施設も増えてきたように感じます。

なぜ、自費のリハビリ事業者が増えているのか?その理由について、私見にはなりますが、考えを書いていきたいと思います。

自費リハビリが求められる理由①~医療保険制度上、リハビリ期間に制限がある~

病院やクリニックなど医療保険の中で行われるリハビリには期限が設けられています。

脳卒中の方であれば発症から150日(高次脳機能障害などを呈している場合180日)、骨折など運動器疾患の場合も150日と定められています。

その後は、医師が必要と判断すれば外来リハビリの継続が可能ですが、H31年より、 要介護認定を受けている方の医療保険リハビリ(外来リハ)が原則できなくなりました(医師が必要と判断すれば外来リハビリが可能なケースもあります)。

これにより、これまで外来に通ってリハビリを継続できていた方々がリハビリ終了となり、「リハビリ難民」と呼ばれる方が増えました。

「リハビリ難民」の方々が増えたことで、リハビリに対する需要も増え、保険外でのリハビリを新たな選択肢としてつくる事業者が増えたと思われます。
 

自費リハビリが求められる理由②~介護保険制度上、多様なニーズに対応しにくい~

医療保険下のリハビリが終了した方は、基本的に介護保険におけるサービスへと移行していきます。介護保険でのリハビリとしては、主にデイケア(通所リハ)、訪問リハビリがあります。また、その他に療法士が介入できるサービスとして、デイサービス(通所介護)、訪問看護からのリハビリがあります。

これらのサービスはいずれも社会に欠かせない資源ですが、課題もあります。

例えば、デイサービスでは「リハビリ特化型デイサービス」と呼ばれるリハビリに焦点を当てた施設も増えていますが、本来は日中の生活を支える場所になるので、リハビリ専門職が常駐していない施設も多くあります。
デイケアは、リハビリ専門職がいますが、マンツーマンの時間が少ないという特徴があります。また、デイケアは医療機関や老人保健施設などでしか開設できないため、住んでいる場所の近くにないなど、数として少ないという問題もあります。

マンツーマンのリハビリを希望する方は、訪問リハビリや訪問看護からのリハビリサービスを受ける事が多いです。しかし、訪問リハビリはデイケアと同様、医療機関などでないと開設できないため、事業者数が少ないという課題があります。一方、訪問看護ステーションは民間で開設が可能なため、訪問リハビリの事業者よりも多くなっています。

おそらく、現在訪問のリハビリサービスを受けている方は、訪問看護ステーションからのリハビリサービスを受けている方が多いのではないでしょうか。

訪問看護は制度上、「あくまでリハビリは看護の一環としての立場」という位置づけになっています。国の方針としては、「重症の方を在宅で支えるためにリハビリ専門職が看護の一環として訪問するという」スタンスを強化する動きですので、軽度者(要支援1、2)に対するリハビリの提供に対しては、今後制度の締め付けが増すことが予想されています。

以上のように、介護保険のサービスはそれぞれ役割がありつつもリハビリを求めるすべての方に対してのニーズを満たすことができておりません。

介護保険はそもそも障がい者のための制度ではなく高齢者の自立支援を促す制度として設計されています。高齢社会が進む未来を考えると、今後もこのスタンスは変わらないと予想されます。
そのため、第2号被保険者(40~65歳)やさらに若い年齢(40歳以下など)の障がいを抱える方々にとっては、介護保険サービスがニーズとマッチしにくいという問題が生じていると考えられます。


以上の2点が主な社会課題であり、この社会課題を解決する一つの手段として、『保険外リハビリ』というものが出てきたのだと考えております。


『自費リハビリ』という事業自体は、上記のような背景から生まれてきたため、まだ歴史は浅いですが、ビジネスモデルとしては、古くからある『整体』とほとんど変わりません。

つまり、専門的知識や技術を有する者が、その知識や技術に値を付けてマンツーマンでサービスを提供するというものです。
整体業というのは、医療機関や介護保険サービスを開設するのと比較し、参入障壁が非常に低いです。医療機関や介護保険サービスなどを開設する場合は、人員基準、設備基準、許認可など様々な条件を満たす必要がありますが、整体業では、それらは必要ありません。
また、専門職種が一人いれば出来るビジネスなので、小資本小リスクで事業を開始することができます。

社会的意義が高く、始めやすい。

このような部分も、近年独立開業する療法士が増えている理由かと考えられます。



以上、「自費リハビリはなぜ増えているのか?」について私見を交えて簡単に解説していきました。


おそらく、今後も自費リハビリの事業者は増えていくのではないかと予想しています。
選択肢が増えることは望ましい一方で、整体業と同様で玉石混交となりやすい懸念はあります。

我々も自戒を込めて、良いサービスを提供する施設を常に目指していきたいと思っております。


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