”手”にはどんな機能がある?

脳卒中後の上肢機能

脳卒中などの後遺症を抱え、上肢に麻痺が生じてしまうと、「今まで出来ていたことが思うようにできない」という状態に陥ってしまいます。
上肢の運動麻痺が回復の困難を極める点の一つとして、”随意性が向上しても生活場面に反映できない”ということが挙げられます。
これは、多くの当事者の方々が悩まれている部分かと思います。


実際、脳卒中後の上肢運動麻痺は、運動機能が回復してきても実生活上における使用頻度が下肢に比べて少なく、学習性不使用(learned non-use)を引き起こしやすいと言われています。1)


学習性不使用とは、手や足を日常的に使わなくなることで、使わない状態を学習してしまい、さらに”使わないこと
”を学習してしまうことです。

運動障害に対するリハビリの役割の一つとして、この「学習性不使用」に陥らないようにサポートすることが挙げられます。

学習性不使用にならないようにするためには、積極的な上肢・手の運動が必要なのですが、闇雲に動かせばよいというわけではありません。

前述したとおり、リハビリを続けることで、腕が少しずつ動くようになってきても、”生活上に反映できない”という問題が生じやすいため、生活場面に繋げていく・反映させていけることが最終的な目標となります。

5つの手の機能


麻痺した上肢・手の随意性を高め、生活場面に繋げていくためには、そもそも”手”がヒトにとってどのような役割を持っているのかについて知る事は大切だと考えています。


上肢・手の役割について、様々な考えがありますが、我々が参考にしている5つの手の機能について紹介させて頂きます。

①道具としての手
手自体を道具として捉えています。握る・つまむなど手の基本的動作になります。

②道具を操る手(操作・操縦する手)
手は足と異なり、道具を扱えるという点が一つの大きな特徴です。道具を操作する、手によって創作活動ができる。これも手の重要な機能の一つです。

③探る手・みる手
目を閉じていても、手で触ると形や重さ、大きさなどから触ったものがなんであるかを想像できるかと思います。このように、手は感覚器官としての機能も有しており、識別能力や探索機能を有していると考えられており、手の重要な機能の一つです。

④伝える手

ジェスチャーや握手などコミュニケーションとしての機能も持ちます。意思を伝達する時に手は非常に重要な役割を果たしています。

⑤支える手
身体を支える、バランスを保持するためにも手は重要です。

【手の5つの機能 2)】



改めて考えてみると、手の機能や役割が多いことに気付けるかと思います。

こういった多機能を有する手が動かなくなってしまうことを考えると、生活上の影響が大きいことにもまた、気づかされるかと思います。

我々としては、このような基本的な手の機能を理解しつつ、その方の生活背景をお聞きした上で、個々に適した目標を設定し、生活場面に反映できるような介入をしていくことを全体で共有しております。


PIECEsでは、脳卒中等の後遺症に悩まれる方を対象に自費リハビリを提供しています。
お困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください



【参考文献】
1)Rand D, et al. Disparity between functional recovery and daily use of the upper and lower extremities during subacute stroke rehabilitation. Neurorehabil Neural Repair. 2012; 26: 76-84

2)矢崎潔,他.手の運動を学ぶ-手の役割と手の機能解剖との関係から運動を紐解き,臨床に活かす.三 輪書店.2017. pp.6-12.

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