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脳卒中リハビリにおける非麻痺側の訓練の重要性について

脳卒中後のリハビリでは、非麻痺側のリハビリも必要?

今回は、非麻痺側の訓練の重要性について書いていきたいと思います。

当然のことながら、片麻痺などに関しては麻痺側の機能改善に目が向くことになりますので、非麻痺側の訓練は後回しになる、あるいはほとんど実施しないということもあるかもしれません。

 

結論から言うと、「非麻痺側の訓練も実施した方が望ましい」と考えております。

 

その理由としては、大きく3点あります。

 

①非麻痺側も筋力低下が生じるから

加齢に伴い筋肉量の減少や、筋力低下は生じます。片麻痺の場合、特に下肢は非麻痺側で荷重しやすく非麻痺側の筋を過剰に使用しているように思いがちですが、一部の筋に負担がかかっており、全体でみると筋力低下が生じているというケースは少なくありません。
 

さらに、少し難しい話になりますが、脳卒中の場合は予測的姿勢調節と呼ばれる機能が両側性に低下する可能性が示唆されています。これは、簡単に説明すると運動をする際、先立って生じる姿勢調整機能のことです。

我々が、普段滑らかに関節運動ができる背景の一つとして、この姿勢調節機能の重要性があると考えられています。
 

この姿勢調節機能が両側性に低下するということは、非麻痺側でも機能低下が生じる可能性があるということになります。

 

②クロスエデュケーションの視点から

クロスエデュケーションという考えが古くからあります。

これは、簡単に言えば片側の運動効果が反対側に波及するという現象です。

脳卒中後の片麻痺で考えると、非麻痺側の訓練をすると麻痺側の筋力あるいはスキルに変化が生じるということになります。
 

まだ機序としては明確ではないですが、片側の運動というのが、脳の両側に作用するのではないかという説が今のところ考えられています。

非麻痺側の訓練としては、ダンベルを用いた筋力訓練、等尺性収縮訓練、ハンドエルゴを使った訓練などが挙げられます。

 


 

③バランス、歩行機能への波及効果の可能性

最後に、バランス・歩行機能への波及効果の可能性があるという点についてです。
以下の論文だと、非麻痺側の筋力訓練を実施したら、バランス機能、歩行機能、筋力が改善したというものです。
 


では実際、どのような訓練を実施したのか、論文をもとに示すと以下のような内容です。

・下肢はセラバンドで抵抗を加えながら、ステッピング

・上肢はセラバンドで抵抗を加えながら肘の屈曲

 

 

まとめ

まとめです。

まだ不明点はあるものの、現状非麻痺側の訓練を実施すると単に非麻痺側の機能向上にとどまらず、麻痺側やパフォーマンス全体へと波及した効果も得られそうということが見えてきます。

脳卒中では、原則として使用依存的可塑性という概念があるので、麻痺側の積極的使用がエビデンスとしても高いです。そのため、個人的には非麻痺側の訓練だけでなく、「麻痺側の積極的訓練は実施しつつ、非麻痺側の訓練も実施する」というところが、落としどころになるかと考えております。
 

非麻痺側にも目を向けられる機会になれば良いかと思います。

我々支援する側も、こういった視点を忘れずにいたいと考えております。


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